10月の最後の週末から東京モーターショーが開催されている。開幕前の平日に僕は仕事で行ってきた。朝は幕張はもう寒いかなと思ったけどその日は天気がよくて暖かかった。幕張メッセの周辺は人がいるときはいるけどいないときはいない。仕事で行くときに静かだとほっとしてしまう。
幕張の街は来るたびにきれいになっている感じがする。カルフールがあって野球場があってホテルもいくつもある。駅前にはひととおりのチェーン店が並んでいてすぐにご飯が食べられるし、行きたいひとはアウトレットにも行ける。僕にはディズニーランドよりここのほうがわくわくする。
僕が免許を取る前の幕張は食事をマクドナルドにするかロッテリアにするかで悩むような場所だった。でもその頃のほうがモーターショーは華やかだったイメージがある。
僕が初めて行ったのは10年前。仕事が早く終わったときに友達の車に乗せてもらって行った。混んでいたから駐車場は会場からかなり離れたところになってしまった。パンフレットには公共交通機関を使うように書いてあるんだろうけど、基本的に車に興味があるひとたちが来るんだからこういうときはしょうがない。僕は車に詳しいわけじゃないけど、駐車場に並んだ何か言いたそうな来場者の車は壮観だった。入る前からもうモーターショーになっている。もしかしたらそれは今も変わらないのかもしれない。お客さんにエネルギーがある場所にはやっぱり雰囲気がある。
そのときと比べると、モーターショーの「ショー」部分が久しぶりに行く会場内には薄くなっていた。空を飛ぶような車を飾るよりも、コンパクトで燃費がよくて環境に悪くない車を展示するほうが多くなるのが今なのかもしれない。東京は狭いから僕は小さい車が好きだけど、モーターショー会場は本当は狭いところではない。販売店みたいに余分なスペースが目立たないくらいに車を並べているブースが多かったように見えたから、それは少し窮屈に感じた。
車を持たない理由なんてすぐに答えられる。お金は必要だしお酒も飲めなくなる。それでも自分の世代も含めて若い子たちがそんな無難なことを言ってほしくない。大学で中途半端に経済とか経営とかを勉強するくらいなら、少し頑張って安い車を買って好きなところに出掛けてみるほうが真剣なこともある。年をとって余裕が出てから何かをしたいのなら別だけど、二十歳のときに行ける場所は二十歳のときにしかない。行ってみたいレストランがあるならやっぱり行けるようにしたほうがいい。惜しむものは他に作ればいい。
それでも特に東京だと車なんてないほうがいいと思われる。でも僕は東京だからこそ車があるほうがいいんじゃないかと思う。東京にいると次に続く景色を自分で選びたくなるときがある。ふとしたときに行きたくなる場所がある。僕はcanvasというレストランをそういう場所にしたかった。