2010 . 07 . 19

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フォワグラのポワレです。厚みのあるフォワグラに火を通し、おひとり様分ずつスプーンの上に盛りました。リンゴを炒めて甘みと香りを出し、シードルビネガーを加えた酸味のあるソースをかけました。前菜料理や、おつまみとしてどうぞ

nana
 
 
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 samedi soir sur la terre

僕が六本木のフレンチレストランでアルバイトをしていたとき、そのお店ではいつも同じCDがかかっていた。同じ時間に落とす同じ味のコーヒーみたいに同じ曲の順番で毎日流れていた。
そのときは興味がなかったけど、それでも毎日のことだから耳に残ってしまう。半年くらい経って、そのうちの1曲は意味もわからないのに歌詞を音で真似できるようになってしまった。忙しい時間帯は、よそ見もせずに秒単位で動かなければいけないときもある。そんなときは他に何も考えていないから無意識なその歌詞が頭の中に出てくるときがある。好きな曲でも何でもないのだから、そんなときは変にいらいらした。
大した曲じゃないんだろうと思っていた曲がそうではないと知ったのはフランスに行ってからだった。アーティストの名前はフランシス・カブレル。ラジオからその曲がかかってきたときは、自分が今どこにいるのか不思議な感じだった。住んでいたアパルトマンの向かいのレストランによく来るお客の前で、一度その歌を歌ったときは大笑いされた。意味をわからないで音だけで覚えていたフランス語だったからおかしかったと思う。後で本当の歌詞に出会えて内容がわかったときは、何かの答え合わせをしているような気がした。思い出の1曲と言いたいところだけど、あまりに聴かされすぎたからこの歌だけは僕は聴きたいと思わない。
その代わりに、フランシス・カブレルは僕の好きなアーティストの一人になった。ジャジーなメロディー、静かに惹きこまれるリズムと美しい詩。そんなイメージで好きなアルバムが「samedi soir sur la terre」。一週間の中でも土曜日の夜というのは、僕が街の景色を実はいちばん知らない時間帯かもしれない。タイトルになっているこの曲を、何か見えない欲しいものをねだるみたいに僕は聴く。
「je t'aimais,je t'aime,je t'aimerai」は、フランス語を勉強したいのかしたくないのかよくわからないひとは聴いてみるといいと思う。過去形にどうして種類があるんだろうとか。フランス語にはこんな言い方があるのかと思えるかもしれない。カブレルは長い時間を短いフレーズの中にさりげなく書いている。
「la corrida」は、主語の一人称が人間ではない。暗い部屋で待たされて、通路の向こうからは歓声が聞こえてくる。鍵が開いて大きな日の光を浴びると、そこにはファンファーレと柵、そしてリディキュールな踊り子たちがいる。出口はない。私は理解し始める、ここで必ず終わることを。「est-ce que ce monde est seriuex?」。僕はこの歌の詩の意味がわかったとき、少し震えた。最後のフレーズがきれいだから余計にそう感じた。最後は何て訳せばいいんだろう。この曲の主語は牛である。
今月は仕事で何回か六本木に行く機会があった。初めて六本木ヒルズの高層階からの眺めを見た。変わったことくらいしかわからないと思っていたけど、そうではなくて新しかった。昔六本木で会ったひとたちはどこに行ったんだろう。土曜日の夜、たまにはそんなことを考えるときがあってもいい。


*「serieux」の実際の表記にはアクサンテギュが必要です。