2010 . 07 . 19

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フォワグラのポワレです。厚みのあるフォワグラに火を通し、おひとり様分ずつスプーンの上に盛りました。リンゴを炒めて甘みと香りを出し、シードルビネガーを加えた酸味のあるソースをかけました。前菜料理や、おつまみとしてどうぞ

nana
 
 
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 la boulette(generation nan nan)

日本で普通に新聞やテレビを見ていても、フランスの話題はそんなに多くはない。政治の記事は気づかないくらいの大きさくらいが違和感がない。あとは例えばカンヌ、ローラン・ギャロスやツール・ド・フランス、季節のコレクションとか。それなりに報道されるもので、メディアのこの国への興味の枠はだいたい埋まってしまっている。日本ではボージョレのヌーヴォーではなくて、ヌーヴォーがボージョレになった。
その枠を大きくはみ出して、日本でも3月から4月にかけて「CPE」という少しだけフランスの一つの同じ話題が続いた。コントラ・プルミエール・アンボーシュ。「初期雇用契約」という、フランス政府が提案した雇用促進のための政策についてのことだった。
改善されてきているとしてもフランスの失業率は高い。とくに若年層の率は深刻といわれている。CPEは、26歳未満の者に対して、企業側がはじめの2年間は試用期間として雇い入れることができて、さらにその期間内であれば理由を示さずに解雇することが可能というものだった。
この政策に対して、各地でマニフェスタシオンやグレーヴなどの派手な抗議活動が繰り広げられた。3月の終わりにはオペラまでがグレーヴになってしまった。マニフなんていうと上品に聞こえるけど、それはときには暴動のようになる。今回の規模は何十年に一回のものといっても大げさではないようだった。
自分たちは企業の使い捨てではない、身分の保障がないのなら何のために大学に行っているのかわからない。そんな声が飛んでいた。
何かを動かすためや変えるために行動を起こすことは素晴らしいこと。フランスのそういう部分にすごいところはたくさんある。いつもにこにこしていることが親切なわけじゃない。でも日本だったら、このCPEの内容を読んで怒りが込み上げてくるひとなんて今どれくらいいるんだろう。僕にはあまりぴんとこなかった。それは僕がこの歳で日本人だからなのかな。
僕がフランスに行って驚いたことは、フランスでは雇用は終身雇用が当然ということと、日本とは比べられないくらいに学歴重視の国だということだった。だから今回のCPEへの過剰な反応は、暴力的とか攻撃的というよりも、既得のものを失いたくないという消極的な印象に僕には見えてしまった。
フランスでは余程のことがない限り一度雇い入れた人間を解雇することは難しい。遅刻くらいでは雇用主が訴えられて負けてしまう。慰謝料などにも細かい取り決めがあるし、失業保険はかなり手厚くなっている。僕は住んでいた町で、目抜き通りに毎日座っていた物乞いの女性が、ある夜に正装してレストランの席にいるのを見てびっくりしたことがある。なんて自分は純粋なんだろうと思ってしまった。フランスの企業の負担する社会保障の額は、日本の感覚を持っていてさえも大きいし、その保障は正社員はもちろんアルバイトに対しても義務づけられている。
だからフランスではアルバイト一人でさえ雇うことに慎重になる。どれくらいの仕事をするのかがわからなくても、ずっと身分を保障しなければならないということはあまりにもリスクがある。そういう理由で働く意欲があるのに働けない人間も多い。CPEはその解決策まではいかないにしても、妥協策くらいにはなると思われていた。ところが抗議活動は激しくなるばかりで、内閣の支持率も急落してしまった。そしてついに、譲らない態度を見せていた首相ドミニク・ドビルパンが、CPEの事実上の撤回を表明した。
撤回の決定にはさすがに驚いたけど、その1か月間はCPEを通してフランスのはっきりとした一面が映し出されていた。いいとか悪いとかは僕は思わない。やっぱりいい条件で誰だって働きたいと思っている。でも世の中とか回りにある物とかが変わったら、ある程度柔軟に考えなければいけないこともあると思う。働く環境にはいろいろある。フランスで、じゃあ日本はどうなんだと訊かれたら、きっともう少しいい話ができる。
今回の抗議活動に参加した人間は、自分たちの行動が世の中を変えたと思えるかもしれない。でもそれは変えなかったことでもある。とくに事情がなければ、普通に働いている人間を2年ごとに簡単にクビにするほどフランスは冷たくない。それなら外国人の僕を雇ってくれたらいい。外から見ていたらフランスはいいところなんだから。


*「generation」の実際の表記にはアクサンテギュが必要です。