すこし前に用があって出かけた先の会社の事務所でテレビがついていた。昼の営業が落ち着いてから出かけた日だった。最近はテレビを見る機会がほとんどないからテレビそのものを見るような感じで眺めていた。
スタジオにコメントをするひとたちが何人か並んでいる光景があって、そのあとスーパーマーケットの店内で一般の女性のひととマイクを持っているひとが映っている場面に変わった。これから買い物をするらしい。いかにして安く買い物ができるかということらしく、「底値」という単語を使っていた。そこでの定義は、ある値段以下でないとその商品は買わないということらしかった。
何はいくら以下じゃなきゃだめなんて言いながら回っていて、醤油のところでは「100円以下」と言った。ほかは適当に見ていたけどこれだけはしっかり覚えている。お買い物に決まりなんてないから別にどうでもいいのだけど、僕は何でこんなことを放送するんだろうと思った。
ミニチュアボトルでもない醤油が100円もしないで買えるんだ。醤油ってそんなに簡単に作られるものなんだ。それでこれからも醤油を作っているひとたちが醤油を作り続けられる利益があるんだ。そんなことは得意げに話すことじゃない。
僕は高い醤油を使うのがいいなんて思っていないし、そんな育ちはしていない。でももうちょっと考えてみてもいい。100円の醤油を使っているひとはそれがきっと当たり前になってしまう。
おいしい刺身を食べるときもあるし、ハンバーガーや牛丼が食べたいときもある。フランス料理なんて高級なものじゃないし、僕はラーメンを食べるのと楽しみはそんなに変わらない。しっかり選んで楽しめることがいちばんいい。食べることは楽しいことだから。